〜コタツのある風景〜 冬の夜長はエンコード
海の民なら男なら、みんな一度は憧れる。それがコタツPC。
しかし大多数の人は憧れのままで終わるのではないか。私もそうだった。
けど今年の秋、コタツを出してきた時、ふと思った。「時は満ちたのではないか!?」
コタツPCにかける我が思いをはばんできた要素はいくつかある。
・発熱 … PCの熱はPC自身を傷つける。
・感電 … ビリッとくるのは誰でもイヤだ。
・パワー … ペン4やペンDならいざしらずGeodeNXやモバアスでコタツPCが実用的だろうか。
・利便性 … CD読み込ませるごとにコタツの中を手さぐりしたくない。
しかし長き構想の中で、これらのハードルはいずれもクリアできそうな気がしてきた。
発熱は冬に限れば問題はなさそうだし、光学ドライブもUSBが多用される今日では簡単に外付けできる。
最大のハードルであった『非力なCPUパワー』も、晴れてAthlon64ユーザーとなったことでクリアされた。そう、時は満ちたのだ。
思い立ったが吉日。いっちょう、やったろか!
とりあえず作れ
今回のいけにえ。 もっとも安物の部類のコタツ。まあ5、6千円てとこでしょうか。 だからこそ躊躇なく改造できるというもの。 |
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コタツの発熱ユニットを取り出す。実は2年前にこのコタツが壊れた時にユニットだけ買いかえたのだが、意外に早い引退となった。 これで後戻りはできない。無事コタツPCを完成させるか、冬のシベリアで死を待つかだ。 |
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マザーボードの位置決めをする。 木の枠が一部コネクタの邪魔をしているので削るしかない。 またしても木工作業か。 |
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安物のコタツなので材質も安もの。おかげで糸ノコやカッターナイフでサクサク工作できる。 夕べNHKの『美の壺』という番組で仏師・円空の特集など見てしまったせいか、削った後の木っ端などを見ていると次元の異なる創作意欲が突如ムクムクと沸いて来るのだが、それは次の機会ということで。 |
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下地にアルミを敷いた。少しでも熱を内部に保ちたいという気持ちの現れ。 普段のPC作りと真逆の行為が倒錯という名の快楽を生む。 |
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マザーボード取り付け用の孔を開ける。 このときドリルを使うわけだが、注意したいのは必ず「麻績村まゆ子のCDを聞きながら行う」ということだ。上級者でも忘れがちだが大事な事なのでメモしておくように。 |
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マザーボード取り付けの下ごしらえは済んだが、ここで先に電源を取り付けることにする。精密部品であるマザボの取り付けは、力作業が済んでからにしたい。 電源の取り付けには苦しんだ。適当な大きさのL字金具があれば簡単なのだが、どうしても見つからない。DIY店にも行ってみたのだが。 |
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「クソッ。魚雷なら何本も揃ってる。なのにL字金具がないときた。50ペニヒもしない、ただのL字金具が」 しかし躊躇しているヒマはない。私は一刻も早くコタツPCを完成させねばならぬ。シベリアの寒気がそこまで迫っているからか!? いやそれよりもっと差し迫った問題がある。さっさとこれを組み上げて使える状態にしないと今夜の『チャングム』が録画できないのだ。録画しないとこれを楽しみにしている両親が困るのだ。そう、私がコタツ化しようとしているのはつい数時間前まで普通に使っていたメインマシン。だからとにかく組むしかない。残された時間は2時間半。 |
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しゃーないのでそこらに転がってた鉄板をこーしてあーして孔開けて、即席のL字金具完成! なんとかなるものだ。完成度や見栄えをとやかく言わなければ、だが。 |
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残る難関はHDDの取り付け。これまた適当な金具が見つからず、熟慮の末、ヒモでつり下げた。 5インチベイ用の取り付け金具が見つかったのが救いだった。これで随分楽ができる。 考えてみればコタツというもの、角に足をぶつけて「ガンッ!」なんてことは日常茶飯事。衝撃を嫌うHDDには過酷すぎる環境だ。しかしつり下げることで衝撃は大幅に緩和されるだろう。つり下げ方式はベストだったかもしれない。すべては付けてから気づいたことだが。しかし周りにゴチゴチ当たってしまうと逆効果なので、そこはそれなりに気をつかって取り付けたつもりだ。 |
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さっき開けた孔に合わせてマザーボードを取り付け(別途スペーサーが必要)。一気にPCらしくなってきた。 グラボが抜けないようヒモでゆわえれば、これで事実上の完成だ。あとは普通のPCと同じに各種ケーブルを取り付ければよい。 |
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ケーブルでは唯一こだわりたい部分がある。電源ケーブルだ。せっかくのコタツPC、雰囲気を出すためぜひこんなのを使ってみたい。コネクタの形状が違うが、なせばなる! でも頑張るのはやめた。ものぐさだからでもコネクタを自作できないからでもない。コタツを消すつもりで誤ってPCの電源を「ブッチン」しそうだからだ。必ずやる。きっとやる、だから普通の電源ケーブルにした。ちょっとつまらんけど。 |
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やってみたら意外と簡単だった。 『チャングム』も無事録画できた。 |
使用感
・PCとしての性能 なんら変わりない。 |
・コタツとしての性能 実は期待していなかった。CPUがAthlon64ではパワー不足は否めない。今ほどペン4/ペンDユーザーをうらやんだことはない。さいわい自分は寒さに強い体質なのでこの程度の熱でもなんとか冬をしのげるだろう、くらいに思っていた。 ところが実際使ってみるとなかなかいける。パワー不足に備えコタツの裏や床に断熱材を敷くという次の一手も考えていたのだが、そんな対策をするまでもなかった。さすがにあたたまるまで時間はかかるが、いったん温まればむしろ本物のコタツより快適だ。というのも本物のコタツの温度調節はサーモによるオン/オフなので温度差が激しい。それに対しコタツPCは常にほんのり熱を出しているので温度変化が少なく、その分快適なのだ。 しかしコタツ愛好家からPC愛好家の視点に立ち返った時、気が滅入ることはうけあいだ。マザーボードモニターで調べるとコタツ化以前に比べCPU温度は10度以上あがっているのだ。ちなみに現在室温は14度。そしてモニター上のCPU温度は35度(アイドル状態)、マザーボードは42度である。 |
・静音性 一番気にしていたのがこれ。静音の観点からすればPCはなるだけ自分から遠くにおきたいもの。しかしコタツは遠くには置けない。コタツ布団をかぶせているという有利な点もあるのだが、実際のところどうなのか… グッドです。非常にグッドです。うちのコタツ布団がかなり分厚いということもあってか、結果からいえば以前より静かになった。これはびっくり。 |
・配線 実際使ってみて一番の不具合がこれ。たるんだ配線が足にあたって不愉快だ。とりまわしをキチンとすれば大幅に改善されるだろう。『チャングム』の録画がすんだらやってみるとしよう。 グラボのでっぱりも気になるがどうしようもない。真に快適なコタツPCを目指すならばロープロなグラボを選択すべきだろう。いずれにせよ足があたってもPC、人間ともに大丈夫なように金網か何かでガードが必要だろう。金網は電磁波を遮る効果もあるとの事なので好都合だ。 |
・その他 このコタツでは後ろにコネクタがあるので人は入れない。つまり残念ながらこのコタツPCではマージャンができない。 どうしてもというならPCに代打ちしてもらうしかあるまい。 |
実際に作ってみての満足感は予想以上である。コタツという日本民族古来の身近なアイテムとPCが合体することで人とPCの融和がまた一歩進んだ気がする。PCの頑張り具合を文字通り肌で感じることができる。そうして暑い夏の日にエンコードする事の無謀さを人は知る。エンコードは寒い冬の夜に限る。
PCのための熱対策
さてこのマシン、実用に耐えてひと冬過ごせるだろうか。はっきりいってこのままでは難しい。
コタツとしての基本性能はすでに満足できる。だが現状ではパーツへの負担が大きすぎる。熱が偏在しているのだ。人に当たる部分は温かい程度だが、場所によっては危険なほど熱い。具体的にはチップセット、電源、HDDである。
チップセット自体はこの程度の熱で壊れるようなことはまずない。しかし発熱を放置したままではオーバークロック時の信頼性にかかわってくるし、チップそのものより周辺のコンデンサ群が心配になってくる。
いっぽう電源だが、予想以上に熱い。今どきのトレンドである12センチファンを搭載していないこともあるが、たかだか100W台の消費電力のわりに発生する熱が多すぎる。つまり電源としての変換効率が悪すぎる。この熱もまた電源内部のコンデンサを劣化させる。より効率のいい電源に買い換えるべきだろうが、そういう電源は性能に比して値が張るのだ。
HDDについては… できれば考えたくない。「すまない」としか私にはいえない。
しかし人とPCの共存は可能なはずだ。人にとって快適な温度はPCにとっても十分許容範囲なのだから。
人にとって理想の温度はおそらく20℃前後。そしてPCは40℃程度までなら正常に動作するのはもちろん、パーツの耐久性もさして問題にならない。要はPCで発生した熱をすみやかにコタツ内部に拡散し、温度差をマージン以内に抑えればいいのだ。
掘ゴタツのように熱源を下にして自然な熱循環ができればベストだろう。水冷ユニットで強制的に熱を移動させるのも悪くない。しかしいずれも現実的ではない。
スマートではないが、結局はファンによる熱の移動が一番現実的だろう。
電源用、CPU/チップセット用に12センチファンを買ってきた。 いずれも1000円を切る低価格。ファンの性能は価格ではない。 1に直径、2に厚み、である。 写真上はSanAceの9センチファン。PCパーツとはなんの関係もないジャンク屋で買ったもの。今回使う予定はないものの、こういう掘り出し物を探すのも楽しい。 |
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HDDの下側にもファンをとりつけたいが、さてどうやってつけようか。 ふと思い出したのが、昔買ったZALMAN製CPUクーラー。 ヒートシンクとファンが分離したタイプで、そのファン取り付け用金具(写真右)が、今回の用途にまさにおあつらえむけだった。 ファンは、ディンプル加工で静音性アップという宣伝文句につられて買ったもの。ちっとも静かじゃないので放置してた。コタツの中なら多少の音も気になるまい。 |
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改造後のコタツのアップ。 見にくい写真で申し訳ないが左から順に、電源、マザボ、HDD。 電源はもともとついてた8センチファンを外し、強引に12センチファンを取り付けた。 マザボにも12センチファンをとりつける予定だったが、実際やってみたらCPUがアイドル時で40度と悪化してしまったので、元に戻した。低発熱と思ってたAthlon64だが、実はCPUクーラーの優秀さに頼っていたわけだ。 金網は電磁波対策&物理攻撃(足でキック)対策のつもり。 3つのファンが並んださまは壮観だ。静音マシンに注力している自分には「ありえない」はずの光景だ。 |
熱の対流については深く考えず、ひたすら熱源にファンをとりつけ風を下に送るようにした。平押しの力技だ。
これでよしとしたのは、コタツPCが予想以上に静音性に優れていると気づいたからである。多少ファンを回しても静かならよいのだ。
この改造によって熱源の温度も許容範囲となった(チップセットだけは泣いてもらおう)。
熱の対流が促進されたことでコタツとしての性能も更にあがった。まことに喜ばしい限りである。
しかしすべての問題が解決したわけではない。
ひとのための電磁波対策
実は最大の問題が手つかずで残っている。
電磁波だ。
PCは多量の電磁波を放出している、これは間違いない事実だ。その電磁波が人体に悪影響を与えるという。
では、どこにどの程度の影響があるのか? これがさっぱりわからない。専門家にさえわからないので私なんぞにわかるわけがない。しかしはっきり分かっていることがある。
電磁波の強さは距離の2乗に反比例する
金属板や金網でもある程度は電磁波を遮蔽できるが次善の策でしかない。電磁波を防ぐ最良の手段は、発生源から離れる、ということだ。これは熱源を至近距離で使うコタツPCにとって死刑宣告にも等しい。
本物のコタツからも多量の電磁波は出ているのだが、コタツの低周波とPCのギガヘルツ級高周波では同じ電磁波でも雲泥の違いがある。そして高周波のほうが身体の内部まで悪影響を与えるらしい。といっても誰もまだはっきりしたことは言えないのだが。
じつはこのコタツPCを使いはじめてから足にだるさを覚える。肉体労働者なので足がくたびれるのは当然なのだが、その疲れが休みの日でもとれない。なんかとても気になる。たんに電磁波のことが気になってのプラシーボ効果かもしれない。しかしそんなことを気にしながらコタツを使い続けるのはどのみち精神衛生上よろしくないので、なくなくコタツからマザーボードを外すことにした。
電源とHDDはそのまま残した。せめてその熱だけでも有効利用したい。電源のスイッチングノイズも豪快に電磁波を生成しているだろうがPC本体に比べればマシだろう。したがってコタツから伸びた電源ケーブルとシリアルATAケーブルが外のマザーボードにつながっているという変態的PCとなってしまった。
だがマザボとCPUの熱の有効利用もあきらめたわけではない。もったいないじゃないか、せっかく有効利用してた熱を捨てるなんて。
PC本体を密封した筐体におさめ、そこから排熱ダクトを引いてくることにした。 以前試作した筐体を流用。改造の手間が最小限ですむ。 これはDIY店で500円程度で買ってきたもの。 |
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マザーボードを装着。 この写真にはないが、グラボは背が高すぎたのでブラケットを外して装着した。 さらに見てわかるとおり、アルミ断熱材を防音/防熱シートとして内側に張り付けた。少しでも熱をため込むためだ。 |
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いちおう完成した排気ダクト付きPC本体。もちろんあとからフタはつける。 筐体のド真ん中に大穴を開け、12センチファンで強制排気。 『まがまがしい』 そんな言葉が似合うPCに気がつくとなっていた このままじゃいけないそんな気がするよ |
これで試用したものの、PC内の熱がうまく排気されていない。排気だけでは負圧がかかるので吸気も必要なのだろう。しかし外気を吸気したのでは実用的なコタツにはなりえない。
仮に外気温が10℃としてPC内で5℃だけ温められたとすると15℃の排気がコタツ内に入ってくる。しかし15℃の排気はいくら集めても15℃以上にはならない。これは熱力学の第二法則から明らかである。これを実用的なものにするには、次の方法が必要だろう。
第一案
排気の温度を上げる
第二案
熱力学第二法則に代わる新理論の構築
第二案こそは永久機関につながる人類永遠の夢に他ならない。しかしこの理論の構築には何年、何十年かかるかわからないし、いっぽう冬はもう目の前に迫っているので今回は第一案を選んだ。
コタツ内部から吸気すれば熱はコタツ内で循環し、かつパーツの熱が人に優しい温度を保ってくれるだろう。
またしてもダクト作成である。
DIY店で4センチ径のダクトを買ってきた。50センチで350円。 もう少し太いのが欲しかったが、これしかなかった。 PCの専門店に行けば売ってるだろうが、お仕着せパーツじゃ真の自作とはいえんでしょう。ああいう店のは無駄に高いし。 プラ製の漏斗は百均で購入。丸型/角形セットで100円。 |
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先程の筐体にまたまた穴をあけて(ボコボコやな)ダクトを通す。 これとCPUクーラーをつなぐ。 |
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漏斗を加工してなんとか。 段々水冷PCに似てくる。 |
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…もう、笑ってくれていいです。 吸気口と排気口はもう少し距離を開けたほうがいいんだろうけど、ダクト長は延ばしたくないし、難しいところ。 たった50センチほどでも、ファンにとってはかなりの負担なのだ。試しにこの吸気ダクトに口をあてて息をしてみてそれがよくわかった。 |
とりあえずはこれでよしとしよう。
ハイブリッド化
はたと気づいた。マザーボードを外してしまったのでコタツの真ん中は空いている。
だったらコタツ本来の発熱ユニットをここにつけてしまっていいんじゃないか?
おお、遂に人類未踏の境地、ハイブリッドコタツPCの完成である!
思えばハイブリッド化はいいことづくめだ。
PCパワーが足りない時は併用することで熱を補えるし、なによりPCを使っていない時でも凍えなくなった。コタツにはサーモが内臓されているので熱すぎたりすることもなく、なんら普通のコタツと変わらない(当たり前だが)。
そして発熱ユニットの助力を得てもなお省エネに貢献していることに変わりはない。コタツの目盛りは常に「最弱」でも快適なので、PCの排熱が有効利用されていることを実感できる。
PCの排熱をダクトで持ち込むだけでコタツはハイブリッド化できる。みんなもチャレンジしてみてくれ。君の小さな一歩が世界を温暖化から救う。ペンDユーザーのみなさまには特に強くお願いする。
追記: この後もいろいろあった。 ・排気口を変えた 筐体にこもる熱をより有効に使うため、横からの排気をやめて上方排気とした。筐体上にダクトとファンを付けコタツ内に誘導。従来の排気口はファンを止めてそのまま吸気口とした。筐体内部温度が若干下がった。 ・CPUの吸気ダクトを外した CPUクーラーの回転が上がると「ヴ〜…」という不快な騒音がするようになった。筐体を毛布とかでくるんでも一向に改善されない。犯人はCPUクーラーではなく、そこから伸びてる吸気ダクトだった。細い管を空気が通ることで、ふえはうたう状態になっていたのだ。 この原理を応用してCPUクーラーの回転を制御することでうたうパソコンが作れるのではないかとも考えたが、そんなものはいらないので却下。 吸気ダクトを外したが温度に変化なし ・電源こわれた これでようやく完成かと安堵したのも束の間、ある朝PCが突然死。心当たりがあったので電源を換装したら動いた。 心当たりというのは、CPU吸気ダクトを外した際に誤って電源ファンを止めた状態でエンコードを数時間行ったのだが… ごめんなさい 全部私のせいです マザボやCPUが道連れにされなくてよかった(過去に経験あり)。死に際まであっぱれな電源であった。 コタツ化そのものが原因ではないので、今後もコタツPCは使い続けるつもりだ。 |
コタツPCという発想自体はさして珍しくない。実際に作る人もいる。私の辿った道は先人の歩んだ道だ。しかし私がひとつ誇りに思っていることがある。それはこのマシンが実用マシンであり、かつメインマシンであることだ。
単なるアイデアやネタとしてのコタツPCであれば困難もなく作れる。しかし実用に耐え一冬を過ごせるマシンとなると話は別次元だ。耐久性、信頼性、利便性、あらゆる物事のハードルが上がる。単なる気まぐれで変わり種PCを作る人種を私はむしろ軽蔑している。単なるパーツの無駄、パーツへの冒涜に思えるからだ。メインマシンとして使って初めて人とPCは分かり合える。
それにしても実際に作って思ったのは、「コタツというのは実によく熱を蓄えるようにできている」ということだ。
PCに限らず、発生した熱をコタツに引いてくるというのは家庭でできる省エネとしてはかなり有効だと思うのだが。しかし現状でコタツPCを普及させるにはやはり問題が多い。
PCの温度管理は、上限については優れている。温度がある程度以上になるとファンのスピードを上げたり、ご丁寧にもCPUのパワーをダウンしてくれるものもある。しかし温度の低下については何も考慮されていない。このままではコタツPCとしては不十分だ。来るべき一億総コタツPC化に向けて方々は手をつくしてほしい。
たとえば温度が下がったら強制的に3Dモードに突入するとか、突如「ようこそ」と表示されてOSのインストールが始まるといった、温度に応じた負荷を自動的にかけてくれる仕組みがほしいものだ。寒い夜にはVista、小春日和にはWin3.1といったOSの棲み分けも必要かもしれない。そういう仕様を満たした「Kotatsu
Ready」のロゴが張られたPCが店頭を賑わせるそんな日を、私は夢みる。
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