発熱との戦い

 静かなパソコンを作るのは難しい事ではない。静かな部品を揃えればいい。それだけの事だ。難しくはない。『発熱』という問題さえなければ。
 発熱こそサイレントPCを作らんとする者にとって、否、全ての自作派にとって最大の敵だ。しかも今回はケースがコンパクトでおまけに素材がプラスチックという悪条件が重なっている。内に籠もる熱は外に逃がしてやればいいが、そのためにファンをブン回したのではサイレントPCというコンセプトに反する。ここはいかに発熱そのものを抑えるか、ない知恵しぼって考えよう。

発熱源1.CPU
 マザーボード内蔵の温度センサーと添付ソフトでCPUの温度を計測してみた。ベンチマーク終了直後のCPUの温度は52℃。高い。予想外に高い。CPUクーラーの回転を故意に落としているのが原因だが、なんとか静音化と低発熱を両立させたい。
 CPUは熱を出す。その度合いは動作電圧の2乗だか3乗だかに比例するという。つまり電圧を落とす事で劇的に温度を下げる事ができるはずなのだ。試す価値はある。
 今回使ったマザーボード(AOpen MX59Pro2)はCPUの電圧を細かく設定できる。定格の2Vから起動限界の1.65Vまで落として同様のベンチマークを行ったところ、CPU温度は42℃まで下がった。実に10℃の減少である。そのうえベンチマークのスコアも全く変化なし。素晴らしい! ただしこのままでは動作が不安定なので1.75V程度が実用的な電圧設定となる。それでも定格より発熱は少ない。電圧を自由に変えられるソケット7の強みである。

(ちなみにK6-2+/500の定格での発熱は16W。発熱量が電圧の二乗に比例すると仮定すると、
 2*2 : 1.75*1.75 = 16 : X より X=16*(1.75*1.75)/(2*2) となり計算上の発熱量は12.25Wとなる)

また、多少の不具合を覚悟の上でACPIを導入した。ACPIとはOS(WINDOWS)が電源管理をする事でCPUに負荷がかかっていない時に電力消費を抑えるシステムである。
 これらの対策を施した結果、CPUの発熱に関してはかなり自信をもって「大丈夫」といえる。

発熱源2.電源
 相当な発熱源。基本的に容量の大きな電源ほど熱も大きいので必要最小限のものを使う。今回はDELTA製のピーク出力150W、連続出力90Wのもの。当初、電源とケースの接触面にキリで穴を開けて換気口としていたのだが、使ってみると電源周りが手をかざしてわかるほど温かくなっていた。空気の通り道が狭すぎて熱がケース内にこもっているようだ。ダイレクトに空気が通るよう、ばっさりケースを切り取った。それだけでCPUの温度はさらに10℃近く下がった。空気の流れひとつでこれほど差がつくのかとびっくり。しかしまだ改善の余地はありそうだ。

電源ファン部分。
試行錯誤の跡…というかいい加減な性格がモロでてます。

発熱源3.HDD
 HDDを頻繁に使用するビデオ編集ソフトを動かしながらHDDの温度を計ってみた。ピーク時で32℃。全く問題のないレベルだ。ただ気になったのは一旦温度が上がるとなかなか下がらない事で、電源を落として30分ほどしてもまだ20℃を切らなかった。(室内温度9℃のとき)

発熱源4.ビデオカード
 ATIのAll-in-Wonder128を使っている。こいつはとんでもない伏兵だった。ゲーム(セガラリー2)を動かし続けて温度を計るとまさにうなぎのぼり、みるみる50℃を突破しなんと60℃を超えてしまった。文句なしに我が家の発熱王である。まさにRAGE博士の異常な発熱である。よくもまあフリーズしないで動いてるものだ。こんなじゃじゃ馬チップに冷却ファンをつけないATIの姿勢に憤りすら感じる。
 とにかくこの値は気になる。冷やしたいのはやまやまだが、冷却ファンをつけてしまうと騒音源を増やす事になり元も子もないので、代わりにビデオチップのクロックを変えるソフトを使ってコアクロックを下げてみた。だが遅くもならない代わり、温度も変化なし。お手上げである。夏はポリゴンゲーム禁止かも。

 …そんなわけで発熱に関してはかなり問題点の残る結果となってしまった。もちろん、ちゃんと動いてはいる。しかし今が2月だということを忘れてはいけない。今年の夏を乗り切れるか、勝負である。


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