ケース自作の試み

 次にパソコンを組む時はケースも自分で作ると決めていた。自作の最大の楽しみは『世界に一つ、自分だけのマシンを作る』こと。ならばケース自作は、自作道を究めんとする者、誰もがたどり着く必然だろう。
 そんな心で街をふらつくと何もかもが筐体に見えてくる。米びつ、鳥籠、虫籠、郵便受け、水槽… 中でも『これは』と目をつけたのがプラスチック製のA4サイズの収納ケースだった。

 幅230ミリ、奥行き327ミリ。ATX規格のマザーボードがすっぽり納まる。高さは150ミリ。立てて使えばCD−ROMドライブがぎりぎり納まる。まさにパソコンケースとして作られたとしか思えない絶妙のサイズだ。
 収納ケースなので外側と引き出しの二重構造になっていて、引き出し側にマザーボードを始め各パーツを直付けしても、外側が化粧板の役目を果たすので見栄えのいいマシンができそうだ。試しに一つ買って帰ったが箱の強度も必要十分。これほどの筐体が電源別売りとはいえ1,200円。たとえアキバ中探し回ってもこれほどの品はそう見つかるまい。かようにマニアックで激安のケースがなんと近所のスーパーで売られてるのだ。これを使わなくてどうする。

 実際に加工を始める前に入念な検討を行った。通常のケースと違い、サイズや強度に問題があるのでさまざまな制約があるのだ。
・ATXマザーではスペース的に厳しい(CD−ROMドライブをつける場所がなくなる)のでmicroATXマザーを使う
・CD−ROMドライブはひとつだけ
・電源もサイズ、強度、発熱の問題があるので小型のものを使う

 各パーツの配置は非常に平凡なものとなった。ドライブの使い勝手や熱循環の事を考えると必然的にこうなる。ただHDDだけはスペースの関係でケース前面にへばりつく格好になった。水平に置けないのはなんか気持ち悪いし騒音の点でも最悪の配置だが仕方ない。

収納ケースの引き出しにあたる部分にパソコンの各パーツをとりつけたところ。
分かりづらいが、上からCD−ROMドライブ、FDD、その下の奥まったところにマザーボードがある。手前向かって左は電源、右側はHDD。そして電源の下に拡張スロットがある。
CD−ROMドライブやFDDは片側でネジ止めしてるだけなので不安だが、今のところ問題なく使えている。

 工具として通常のドライバーの他にキリ、カッター、彫刻刀、はんだごてを使った。こてはハンダづけのためではなくプラスチックケースに穴をあけるためだ。先端がナイフ状になっているこて先も売っていてこいつはかなり役にたった(グフのヒートホークみたいだ)。プラスチックの焼けるいやな匂いには閉口したが。
 加工した筐体(引き出し)にマザーボード、CD−ROMドライブ、FDD、HDDをネジ止めする。CD−ROMドライブはかなり重いし取り付け方も万全とはいえないので強度的に心配だったが特に問題はなかった。この時点でCPU、メモリ等を取り付けとりあえず配線も済ませる。続いて電源の取り付け、そしてビデオカード等の拡張カードを取り付け。
 そしてスイッチやLEDのとりつけ。これらは電子部品をひとつひとつ買ってはんだづけで作るしかないと考えていたのだが、最近のパーツ屋はこのような部品までちゃんと売ってる。供給があるという事は私と同じような事をしてるご苦労さまな人たちがいるって事だろう。とにかく案ずるよりもアキバへGO! って事か。

 これで一応できあがり。ジャンパピンを設定して電源を入れるとさらりと動いた。あっけないものだ。

 しかし真の戦いはここからだ。ここまでならパソコン雑誌でちょくちょく見かける『変わりだね自作機』と変わらない。私が作ろうとしているのは単なるうけ狙いのマシンではない、自分のメインマシンだ。だから毎日の使用に耐えられねばならない。
 まず問題なのは電源の重みでケース全体がしなってしまう事だった。下から金属板をあてて重みを支えるようにした。
 続いてPCIスロットの拡張カードも問題になった。単にスロットに差してあるだけでネジ止めされていないので接触不良によるフリーズが多発するのだ。試行錯誤の結果、DIY店などで売ってるアルミメッシュ板を加工して取り付けた。ハサミで手軽に加工できるしネジ穴を開ける手間も省ける。

ささえでございま〜す
分かるだろうか? 上の電源を『ロ』の字の形の金具で支えているのだ。 PCIスロットをネジ止めしてるところ。一番下のLANボードはブランケットそのものを外して差している。 前面に温度計をとりつけた。自作派をアピールするアイテム。未知の筐体で夏を乗り切るための必需品でもある。

 それら細かい工夫を施す事でかなり『使える』マシンに仕上がってきた。だがそれだけでは不満足だ。私のメインマシンとなるからには避けて通れない関門がある。そう、サイレントPCへの挑戦だ。


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