デジタルアンプ編


アンプの血液型?

 アンプにはその仕組みによっていろんなタイプがあります。A級、AB級、B級なんてのもあります。
 まるで血液型です。


 A級アンプというのはエネルギー効率を無視してひたすら音のよさをめざした方式です。
 B級アンプというのは実際には音が悪いのでほとんど採用されないらしいです。当然でしょう、B級なんだから。
 AB級というのはA級の音質とB級の効率を併せ持ついいとこどりの規格で現在のアンプの主流ですが、ネーミングからして妥協の産物ですね。
 C級アンプというのも存在します。これは無線用に使われるもので音質については語るまでもないでしょう。
 名は体を表す、とはよくいったものです。

 残念ながら「O級アンプ」というのは聞いたことがありません。あればさぞおおらかで社交的な音がするのでしょうが。
 その代わりというわけなのでしょうか、世の中には「D級アンプ」というのがあります。D級というくらいだからもうどうしようもないひどい音なのでしょうか? いや、どうやらそうではないようです。


  「D」とはデジタルの「D」。つまりデジタルアンプのことです。今までのアンプとは全く原理が違います。回路図を見ると違いは明白。とにかく部品が少ない。部品が少ないってことは組むのが楽ってことです。
 おまけにD級アンプは電力効率がいい。一般に効率がいいといわれるAB級アンプで50%が限界、A級はそれ以下なのに対し、D級は実用で80〜90%という異次元の効率を誇り、中には単3電池2、3本で動くものもあるようです。


 組むのが楽で電池で動く。
 これは電池アンプをこよなく愛する私に「組め」と言ってるようなものです。

 実は何台かこっそり作ってました。



何個か作ったうちのひとつ(モノラルアンプ)


基盤のアップ。とにかくシンプル。


 出てきた音は非常に可能性を感じさせるものでした。デジタルアンプの音を一度でも聞いた人はそのクリアな音質にハッとなるでしょう。
 その音は同じ価格帯のAB級アンプより明らかに格上で、それ以上に異質です。
 そして不思議と、どこかA級シングルアンプの音に似ています。
 加えてAB級や、まして真空管アンプでは到底味わえないキビキビした低音を併せ持っています。

 それほどの魅力を持ちながら、このアンプは到底実用にはなりませんでした。

 音質はクリアでありながら高音部にジャリジャリしたノイズが上乗せされる。
 電源投入時の盛大なポップノイズは愛用のスピーカーを容赦なく攻撃する。
 隣室でFMを聞いている父から苦情がくるほど、壁越しのFMチューナーに届くような盛大なノイズをまき散らす。

 結局D級アンプは我が家では実用になりませんでした。時期尚早なのだと思いました。
 けれどあのクリアな音が耳から離れない。なんとか使いこなしてみたい。


本気のD級アンプ製作

 「TA2020」というデジタルアンプがあります。多くの人がこれで自作アンプを作っていてその音質には定評があります。
 デジタルならではの欠点もありますが先人の努力によって改善のノウハウもネット上で語られています。
 これを使えば未熟な私でもなんとかまともなアンプが作れるんじゃないか?
 電源電圧が12V、出力20W×2と電池信者が使うには大げさな石ですが、私は意を決して日本橋に向かいました。


 日本橋に「デジット」という店があって、ちょくちょく立ち寄ります。そこに目的のとは別のD級アンプがありました。
 実際に組まれたものが小さな基盤におさまり元気よくスピーカを鳴らしてます。
 興味深く眺めていると、珍しく店員のほうから声をかけてきました。
「これ、単3二本で鳴るんですよ」
 そのアンプから流れる音と店員の笑顔で私はあっさりと心変わりしちゃいました。出会いは大切です。
(ちなみにTA2020も買いました。作ってないけど)

買ってきたD級アンプ「PAM8202」とその仲間たち



 スぺック表によるとパワーは負荷4Ω時で2W+2W。
 うちのスピーカ(ALTEC CF204)はインピーダンスが8Ωなので1W+1Wというところか。
 高能率なスピーカなのでこれでこと足りるでしょう。
 えっ、どれがICかって?


 これです。この黒いシミみたいなの。
 これを基盤にハンダ付けします。ちょっと気合いります。


 銀入りハンダが安かったので買ってみました。融点が高くなりハンダ付けが難しいのではと心配でしたが、このハンダに関しては問題なし。
 ちなみに常用してるのは「共晶ハンダ」というもので融点が低く、細かい部品にハンダを流し込むような用途に向いてます。
 ハンダづけが苦手なぶん、工具やはんだを使い分けて不器用さを補ってるつもりです。
 (でも、できればハンダ付けなんてしたくない)


 暫定部品による暫定版がざざっと完成。
 IC本体が190円、基盤は400円、その他の部品に高級品を使っても合計1500円もしません。この低価格は魅力です。

 単3電池×3で鳴らしてみました。
 今までのD級アンプの扱いにくさが影を潜めてます。シャリシャリノイズも聞こえないし電源投入時のポップノイズも許容範囲。肝心の音質も悪くない。デジタルならではのクリアな音です。やや低音よりの味付けを感じますがPC用サブシステムとしては十分なクオリティー。


コイルを自作のものに換装。ああ、まがまがしい。


それにしても手巻き感が漂いすぎるコイルです。
春にはシジュウカラとかが訪ねてきてくれそうです。

 コイルを換装したことで見た目はともかく、低音のキレがよくなりました。
 ちょいと欲を出してメインのスピーカー(ALTEC CD408)につないでみました。
 予想通り、真空管アンプでは逆立ちしてもかなわないキレのいい低音がワサワサ出てきます。高音もクリアなので結果として同じスピーカーでも随分ワイドレンジにきこえます。これはメインとして使えるかも。

 しかし正直、今メインに使っている真空管アンプ「TU-870」にとって代わるには、ちょっと苦しいです。
 パワーはこれで必要十分なんです。少なくとも我が家で使うぶんには。
 音質も、低音に関しては明らかにこちらが上です。
 問題は高音部です。クリアではあるが潤いが足りない。真空管のほうが上質な音です。
 いっそ低音はこのアンプ、高音は真空管で鳴らせば、とてもいい音になるんじゃないか?

 そんな悪魔のささやきに誘われる如く、私は踏み出してはいけない一歩を歩みだすのでした…
(続く?)


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