−スピーカー強化編−
いよいよ泥沼です
2500円スピーカー(アキバで買った新品ジャンク)と、500円アンプ(投げ売りスピーカーから摘出した)の組み合わせ、大変気に入ってます。特にボーカルやピアノの音は絶品です。とうとう10年来使ってたミニコンポをしまい込んでしまいました。今や我が家のメインオーディオです。
とはいえオーディオマニアの辞書に「満足」の文字はありません。
ここ一番の「ズシン」と来る迫力がありません。所詮は10pの小口径スピーカーの悲しさです。ポップス系のドラムなら平気な顔して鳴らしますが不思議な事にフルオーケストラのティンパニなどは悲しいくらい非力です。
「そんなもん、単3電池4本だから仕方ないだろ」
いえいえ、電池駆動のポテンシャルはこんなものじゃないはず。というかこの澄みきった電池サウンド、もう手放したくはありません。となると手を入れるべきはスピーカー。
小口径でも箱、つまりエンクロージャを工夫することでかなり重低音出るらしいです。そういうスピーカーを自作する人たちもいます。しかし私は初心者。もっと手軽で、しかもお金のかからない方法を考えました。これです。
ハードオフで購入したジャンク品(ペア1500円)。 |
家にあるスピーカーの大きさ比較。 左上・ジャンク(新品)のマランツスピーカー(ペア2500円) 左下・ミニコンポ(パイオニア・セルフィー)付属スピーカー 真ん中の白いの・クリエイティブメディアのPC用スピーカー 右・買ってきたジャンクスピーカー |
ウーハーの口径は20センチ。今の10センチやミニコンポの12センチと比べ、差は歴然。期待できます。
デカいだけならもっと大きなのが同じような値段で売ってたのですが、果たして電池でそこまでデカいのが鳴らせるのか。それにこれが自転車でもって帰れるギリギリの大きさだったのです。
ちなみに購入時、業者らしき人が大量買いつけに来てて、台車でもってダース単位で買い込み開始してました。3分遅れたら買い逃してたでしょう。ラッキーでした。
とはいえ安いにはそれなりのわけがある。安物らしいという予想は最初からついてました。手にした時の、異様な軽さ、高さや幅の割りに短い奥行き。とどめが貧弱な直出しケーブル。それでもこれに決めたのは、手頃な大きさと、昔あこがれた平面スピーカーだから(ところがこれがクセモノだった)。
無事に持ち帰り、まず鳴らしてみます。ジャンクだけどちゃんと鳴りました。いや、「ちゃんと」と言えるのか。
大きさのわりに優しくマイルドな音。というかマイルドすぎます。期待の低音が全然鳴ってくれません。スコンとみごとに腰の抜けた音です。ボーカルもピアノもなんだか遠いところから聞こえてます。特にピアノがひどい。
「おい、ピアノ」
「ん?」
「もっと前に来い。聞こえね〜」
「ぎゃぼ〜!(怒)」
何よりもピアノという楽器を愛する私としては、これでは納得いきません。10センチのスピーカー使ってたほうがマシです。やはり電池4本じゃ無理なのか…
がっかりしながらクラシックの曲を垂れ流しに聞いていると、突然そのスピーカーが反乱を起こしました。今までのだらけようが嘘みたいに艶やかな響きを奏ではじめたのです。
どういうわけか、弦の響きだけがすごくいいのです。
ならば、と手持ちのCDの中で数少ないバイオリンの曲を流してみました。
♪試聴CD モーツァルト・バイオリンソナタ集 グリュミオー/クリーン
唖然としました。開いた口がふさがりません。伴奏のピアノのあまりの貧弱さと、そしてバイオリンの響きのあまりの豊かさに。
楽譜にかいてある音はもちろん、その倍音やら、「胴鳴り」といわれる楽器自体のうなりやら、私は専門家じゃないからよくわかりませんが、とにかく全てが聴こえてくる、伝わってくるんです。まるで自分がニュータイプになったみたいに、目の前に演奏者の姿が見えてきます。
「おい、グリュミオー。いま楽譜めくっただろ、弓が楽器にあたっただろ、息しただろ、鼻ほじっただろ」
微妙な音程のずれ、微妙なタイミングのずれ、それらが不快ではなく、その場に居合わせている一期一会のライブのように心地よい緊張感となって伝わってくる。そんな、オーディオに百万も二百万もかけてる人のリスニングルームならありえるかもしれないことが、今目の前で起こってます。想像を絶する圧倒的な情報量が流れてきます。バイオリン限定で。
凄いです。でもバランス悪すぎです。このスピーカーで聴くとピアノ協奏曲がただのディベルティメントになっちまいます。
このスピーカーのヘンな特性、おそらくメーカーの意図したものではないでしょう。もともと剛性不足な上に経年劣化が加わっていい感じに共鳴して、いわばスピーカーがバイオリンそのものになっちまった、みたいな。
このバイオリンの魅力は捨てがたいですが、やはり現状ではつらいです。
改造を決意しました。
予想はしていたけど、ここまで安っぽい作りだったとは。 これ、中身はただのコーンスピーカーです。なんちゃって平面です。 いかにも3ウェイに見えるツィーター(らしきもの)も、コードが来てません。ただのリボン飾りのようです。 思わず、前面に輝く『Technics』のロゴをひっぺがしてやろうかと思いましたが、1500円のジャンクに文句言っちゃダメですね。 スピーカーを外して筐体ごと作り直すというのもアリなんだけど、それはもっと経験積んでからでもいいでしょう。今はこの筐体への応急処置ですませます。 (あ、あと、ウーハーを囲ってる鉄板、ただのジャマにしか思えないのでとっぱらいました。「そんなことしちゃダメ!」とおっしゃる方、その理由ともども改造法をご教授ください) |
方針としては、とにかく「ズシン」で「カツン」が目的なので、
・内部剛性の強化
・ブチルゴムを使って「ビビリ」の解消
・スピーカーケーブル交換
・吸音材を詰める
という4点に絞ってやってみました。
・内部剛性の強化 板と板の継ぎ目に補強材を接着する。 デフォルトはどうみても剛性が足りなく、しかも左と右で補強材の数が違うなど、一見 すごくアバウトにみえるのだが、二本のスピーカーは共にほぼ同じ位置に補強がされてい るので、ちゃんとそういう設計に基づいてされているのかもしれない。自分で勝手に補強 して悪影響があるのでは、とも思ったが「カツン」のためだ、思い切って補強。 補強材は以前DIY店で買ったはぐれ木材。 |
・ブチルゴムを使って「ビビリ」の解消 このスピーカー、ほんとつくづく安物で、側面等はかなり薄手の木材、そして前面は見 栄えがいいだけのプラスチックで、しかも木材とプラスチックの間がかなり豪快に空いて いるように見えるので、ブチルゴム系の粘着テープを張る。 自作パソコンを趣味にしてた関係で制音関係のグッズや知識は持っているのだが、なに がなんでも音をなくせばいいパソコンと違って、「響かせなくては」いけないオーディオ の世界でPC流が通用するのか。まあでもやってみた。 |
・スピーカーケーブル交換 このスピーカー最大の不満点がこの直出しケーブル。いくら廉価品でもここまでひどく ていいのか? ケーブルには全くこだわらない私でさえ怒りを覚えるほど、ある意味すご いケーブル。もちろん交換だ。 でもコネクターとかつけるの面倒だったので、結局また直出し。 |
・吸音材を詰める グラスウールがなかったので純正ウール100パーセントを詰め込む。けど、やってみ たら音は小さくなる、音質もこもりがち、と何もいいことがないようなので、やめた。 なんといっても電池駆動なのだし、余計なパワーロスにつながる事はひかえるべきだろう 。 |
(すいません。改造後の写真、撮り忘れました。外見は同じです)
試みに片方のスピーカーだけでやってみました。いくぶん「固い」感じになった気がします。
あのバイオリンの音も捨てがたいので「片方だけそのまま」という悪夢な考えもよぎりました。
いっそ「ステレオ」なんて考えを捨てて楽器ごとにスピーカーを用意してオーケストラのように配置しておけばすごいシステムになると思うんだけど。今のコンピューター技術をもってすれば制御可能だと思うし、現実にオーディオに何百万もかける人たちがいるんだから実現してもおかしくないと思うんだけどな。マーラーの8番とかやろうと思ったら大変でしょうが。
ごたくはともかく、泣く泣くもう一方のスピーカーも同様の改造をほどこしました。
そして試聴用のリファレンスCDをかけてみました。
♪試聴CD 「山野さと子・ベスト&ベスト」
思わず「クックックッ」と悪の笑いがこだましちゃいました。笑いが止まりません。
私はついに求めていたものを手に入れてしまったのかもしれません。ポップスもアニソンもクラシックも、全てに満足がいくユニットを、何年も思い描いていたものを、私はついにこの瞬間手に入れたと、実感したのです。
なんというか、道半ばと思っていたら突然頂上にたどりついてしまった感じです。
無論、カンペキではありません。このシステムでフルトヴェングラーを聴くのは無謀です。それにどういうわけかロック系統も駄目みたい。(パワー不足という感じはないのに、ある程度以上ボリュームをあげても無反応なのです)
そして悲しいことにあのバイオリンの胴鳴りも聴けなくなってしまいました。スピーカーいじる前に弦楽四重奏とか五重奏とかバッハの無伴奏チェロソナタとか聴きまくっておくんだったと反省してます。
けれど、ひととおりのシステムだけでほぼすべてのジャンルの音楽をカバーできるというのは、自分の今までにない経験です。それもこれだけ安価なシステムで。
初めてのスピーカー改造がほぼ自分の思惑どおりにいって、その点では満足しています。
10センチスピーカーもよかったけど、たとえていえばターボ車に対する自然吸気のようなものでしょうか。ドンシャリ感に乏しく一見迫力がないけれど、音に無理がなく聴き疲れしません。不思議なことに、ボリュームを下げたままでも満足できてしまう音です。音のメリハリが、音量を下げても変わらず伝わってくるのです。
電池駆動というクリーンなアンプのおかげに違いありません。音楽にとって最も大事なことの一つ、「静寂が静寂であること」という点ではこのシステム、電源部に贅を尽くした高級システムにひけはとらないと思います。
そして音量をあげずに済むということは、言うまでもなく電池駆動には有利。
音楽のジャンルを選びはしますが、私のような聴き方をするぶんには電池駆動は魅力的であり、最良の選択であるとさえ、いまでは思っています。
追記
その後、思わぬ欠点が暴露しました。
試聴は容量2000mAのニッケル水素電池だったのですが、1400mAに交換した途端、聴くに耐えない音に化けました。ギリギリのところで鳴ってたわけです。ということはさらに大容量の電池を使えば…!?
(でも太陽電池だとちゃんと鳴るんです。不・思・議)
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